人生最悪にして最高の失恋体験談。

お相手は、会社の同期の女の子でした。年は私より二つ下でした。入社前のオリエンテーションで初めて顔を合わせたのですが、なぜか初対面から気が合いおつきあいを始めるまでにそれほど長い時間は要しませんでした。

 

思い返せばお付き合いを始めましょうなどという会話をした覚えもありません。気がつけば一緒にいる。そんな女性でした。

 

彼女とは、別にお互い相手に合わせているわけでもないのに、不思議なくらいに趣味趣向、考え方、金銭感覚、食の好みから旅行に行きたい場所まで何もかもが一緒で、ケンカなどしたことがありませんでした。何しろ「すれ違う」と言うことがなかったのです。

 

周りもうらやむ仲良しカップルだったのですが、お付き合いを開始して五年後に事態が急転しました。

 

彼女のお母さんが病気により急逝されたのです。

 

闘病生活を送られたのは一年間ほどだったと思いますが、当然その期間は自由に会うこともままならず会っても気分も沈みがち。私はそんな彼女に気を遣ったつもりで「お母さんの病状が安定するまでは、無理に会わなくてもいいよ」と提案したのですが、それは若さ故の大失態だったようです。

 

本当はそんな時こそ側にいてあげなければいけなかったんですね。

 

彼女とは同じ会社ではありましたが、勤務先が全く違い近況は分かりませんでした。

 

お母さんが亡くなったという話は人づてに聞いたのですが、なんと言って連絡してよいのかも分からず月日が流れました。

 

そんな状況を彼女は私の気持ちが離れたと解釈したようで、新しい彼氏ができたという話を聞きました。

 

数年後会社を辞め子供を連れた彼女と偶然再会しました。「私、あのときずっと待ってたのに」という衝撃の告白をされましたが、時すでに遅し。

 

その時は私も程なく結婚式を控えた時期だったのですが、お互いの胸中を話せて本当によかったと思いました。

 

運命のいたずらと、自分の未熟さのせいで結ばれることはありませんでしたが、20数年の時を経た今でも思い出すと少し胸が痛いような、それでいてさわやかな気分になれるような、

 

最高の恋愛と失恋だったと思っています。