恋愛。舞い上がった結果失恋に…

大学一年の頃のこと、アルバイト先にその人はいて、私はホール係、相手は厨房で働く一つ上の大学生に通っていました。彼は夜間の大学に通い私がシフトに入る時間に彼は店を出る、たまに週末に一緒になろうにも土日は飲食店ですから、色恋に現を抜かすようなら働く時間を減らされかねない、私も遊ぶお金が欲しくてそもそも働き始めたので、店に居る間はほとんど話はできませんでした。

 

唯一、賄いの器を提げるときにだけその人は私のごちそうさまに、はーいといつもおなしく無口な人が答えてくれたのが、とてもうれしくて、それがすべてでした。転機はそのあとすぐに。彼が別の店に移ることになったのです。そちらがのほうが学校も近く長い時間働けるとのことで、私は急にその人が目の前からいなくなってしまう、恐怖でした。いてもいられず、しかし込み入った話は一言も、電話番号だって知りませんでした。

 

相談を同じ店で働く友人に持ちかけます。強引だったとは思います、ただ彼に恋人がいなかったことにかこつけて一度付き合ってみるのも、と間接的に伝えてもらったのです。うまく行くはずはありませんよ、付き合うことにはなりました、乗り気ではなかった相手をそのときは見抜けなかった、ただ私は進まなくては繋がりが切れるのではと、必死だったのです。

 

連絡やデートはすべて私から、最初はそれで満足に浸るも、徐々に自己嫌悪に陥って、相手の来るはずもない連絡を待って落ち込んで、それで結局私から別れを告げました。しかも失礼にも会わずにメールで済ませて。失ってから気づいて、そしてそれが不釣合いだとわかって、私に付き合ってくれたと振り返って思えます、別れた当時は相手への罵倒ばかり、ほんとうに愚かであったとその時が悔やまれます。

 

どうしているだろうか、優しかったその人を時々思い出すときがあります。冬に二人で行った焼肉屋ではじめて二人で並んでお酒を飲んで、対面居座っていたら一言も話せなかったでしょうから、お店が込んでて良かったと、チェーン店の店名を別の場所で目にすると記憶が過ぎります。